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このことは、英米法においてもほぼ同様の取扱いがなされており、契約違反に対する損害賠償は、『そのような契約違反から自然的に(naturally)、すなわち、事物の通常のなりゆきに従って(according to usual course of things)発生するものと、公正かつ合理的に考えうる損害または契約締結の際に両当事者がその蓋然的結果(probable result)と考えたであろうと合理的に推測されうる損害』の賠償請求が認められている。
(2)間接損害(賠償)または派生的損害(賠償):Consequential Damage(s)
売買契約において、売主の契約違反などから派生的に生じる損害で、例えば、売主が契約締結時に当然知っていたはずの買い主側の一般的または個別的な要求および必要を満たさないために生じ、かつ、代品入手その他の方法で阻止できなかったのが相当と認められる損失(UCC 2-715条第2項a号)、あるいは、保証違反によって人身または財産について直接生じる損傷(UCC 同条第2項b号)が、「間接損害」または「派生的損害」である。
UCC 2-715条第2項a号、b号
UCC 2-715条第2項a号、b号の詳細については、資料編参照。
(3)付随的損害(賠償):Incidential Damage(s)
契約違反に隋伴して生じる損害で、例えば、売買契約において、買主の契約違反のために不要となった物品の返送や保管の費用等の賠償(UCC 2-710条)、または、売主の契約違反の結果、適法に拒絶した物品の検査、運送、保管等の費用、代品入手に伴う費用、手数料等の賠償(UCC 2-715条第1項)が、「付随的損害」である。
(4)懲罰的損害(賠償):Punitive Damages(s)
主として、不法行為訴訟において、加害者に対する懲罰および一般的な抑止効果を目的として、通常の補償的損害賠償のほかに認められる損害賠償で、契約違反の場合には認められない。例えば、米国統一商法典では、『売買契約の当事者は、契約違反による損害賠償額を合意で予定することができるが、その額は、契約違反により生ずるであろうと予想され、または現に生じている損害、損失立証の困難、および損害賠償額を予定しなければ十分な救済を実際上受けにくいとか、受けられないという事情からみて合理的なものでな

 

 

 

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